一行感想「妖怪探偵・百目1」

近未来の世界、先鋭的な都市に妖怪たちが跋扈する、イメージの奔流、科学と妖怪のバトル、超能力に呪術師の登場、わくわくする、素晴らしいなあ。


■映画「この世界の片隅に」 2016/11/15 00:18
 話題作、アニメ「この世界の片隅に」見てきました。イオンシネマ茨木 14:05上映回。
 やけに朝日新聞が押していると思ったら協賛していたのね。さらにイオンシネマ茨木、壁一杯にスクリーンショットと設定画がディスプレイしてばしばし貼ってあり、謎だ。
 映画を見る私の立ち位置は、原作の「こうの史代」は特別な漫画家だと思っており、その中でも「この世界の片隅に」は、ひとつのピークである作品と捉えています。
 だから、安易なアニメ化は作品への冒涜と呼ぶべき、地獄へ堕ちろ、それなりの覚悟で作ってもらわな許さへんぞ、と思います。

 映画を見る前に、4つのポイントを確認しておきたいと考えました。
1.あの、こうの史代の独特な描線の絵が果たしてアニメ化可能なのか?
2.さらに独特の世界観と、ふしぎな間の取り方が表現できるのか?
3.能年改め、のんが主人公すずを演じるにふさわしいのか?
4.原作に感動した読者の期待を、原作と同じ感動こそ求めないけれど、別のものをアニメとして見せられるのか?

 ひとつずつ確認します。
1.はなかなかの出来だと思いました。丁寧な描写がされていましたし、予想外なことに呉空襲のシーンは胸が痛くなるほどの迫力でした。
2.は表現方法がマンガとアニメでは違うので難しいです。漫画のコマとアニメのカットの繋ぎは違うと思うので。がんばっているのはわかりますが。
3.は私は違和感なかったです。とてもよかった。逆に能年だと意識しちゃうともったいない。
4.は、うーん、どうなんだろう? 原作は単行本3巻の長編連載漫画ですし、2時間の尺ではね。描ききれないものがある感じがします。
 幼なじみの水野とのシーンとかぐっと来るんだけれど、原作でも大好きな場面だったし嬉しいけど、割とシーンごとに流れがぶつ切りな気がします。
原作に忠実な映画化をしているので、それが逆に辛いです。
 映画は真面目にきちんと作られていて、好感は持てるのですが、原作と違う映画としての感動があるか、といわれると。
個人的には「原作を読んでから見に行った方がいい」と思うのですが、原作を知らずに映画を見た人の感想を、とても聞いてみたい気もするのですよ。
 でも後でも先でもいいから、原作は必ず読め。
ただの「悲惨な戦争の話」ではない、生きること、について描かれた普遍的な文学作品です。
 映画は原作の副次的な作品。サブテキストだと思ってみれば、とてもよくできていると思いました。


*[読書日記]一行感想 益田ミリ「お父さん」という男 2011/01/01 00:02
なるほど。
娘からみたお父さんというのは・・・。
ほくほくしますね。こういう本は。
「ファーストフートは、わしゃ好かん」というお父さんが、ケンタッキーだけは好きで、車で買いに行く、というのがおかしい。
益田さんのお父さんは、益田さんのエッセイを読むそうなので、この本を読むのは、嬉しいのか気の毒なのか。と気をもみます。


■映画「イミテーションゲーム」2016/11/08 06:30
アラン・チューリングは、情報科学の教科書ではコンピュータの基礎を考えた天才として、彼のチューリングマシンとともに必ず出てくる人です。
映画館で見そびれていて、今回やっとDVDで鑑賞しました。
じーん、と来ました。
いろいろ言いたくなる映画でした。
まず映像が素晴らしい。きれいでスタイリッシュで、もっともらしく時代背景を観客に納得させる映像であること。見入ってしまいました。
(そうだ昔「炎のランナー」を見たときも、こんな感じだった)
映画ではアラン・チューリングの設計した機械、コンピュータの先祖ですか、が出てくるんですけど、これが動くシーンにわくわくする。ダイナミズムを感じます。うわわ、動いているわー、という子供がおもちゃ見るみたいな感動を覚えます。ああ、これがコンピュータの先祖かあ、という感じ。
そしてベネディクト・カンパーバッジの天才っぷりがもう、この人が演じると、本当に天才って感じ。頭はいいんだけど、突出した天才っぷりなため、周りとなじめず孤立、でも実は繊細で傷つきやすく、ちゃんと弱い人たちを思いやれてっていう、彼にどんどん肩入れして見ちゃうんですよね。
彼の秘密って設定(割と早くに明かされる)が、これは悲劇で終わるしかないっていうのを観客に早々と感じさせて、その過程が丁寧に描写されるので、もう途中からツラい、でも見続けなければっていう、瞳孔開っきぱなし見たいな状態に。
ストーリーは断りなく、時代を行ったり来たりして(晩年、青年時代、子供時代)最初はやや混乱するんですけれど、最後にすべてが収斂していくが、うまいなあ、泣かせるなあ、と思いました。
ええ、心で泣きました。


■11月は文化系イベント花盛りです。
何しろ3日は文化の日ですから。
 いつもここへ行った、あそこへ行ったの後追い記録では人のためにならず。11月、これから私が行く予定のイベントを紹介します。
5、6日はイケフェス大阪。
 大阪の数々の名建築が特別にこの日だけ公開する。建築好き狂喜のイベント、ガイドブック300円も絶賛発売中。もう行くしかないでしょ。
名だたるビル達が私を待っているのだ。
私、ハコモノ大好き人間ですから。いやー楽しみ。
19日、20日は関西文化の日
 知らなきゃモグリの博物館好き大興奮イベント。あそこも、ここも、みーんな無料に。この機会に地味でなかなか行けない、美術館、博物館に行っとけ、行っとけ。
 私の予定は、万博の日本民芸館、それから、それから、地図とにらめっこして頭を悩ませるのも楽しい。
何しろ1日の開館時間が限られているから。
 日程が合えば、ぜひ行くことをお勧めします。
検索すればHPで詳しいイベント内容がわかりますよ!


■本日は日文研の公開イベントに行きました。
日文研って何? 私も初めて聞いたんですけど。「日本の文化・歴史を国際的な連携・協力の下で研究するとともに、外国の日本研究者を支援するという大切な使命を持った大学共同利用機関」だそうです。そうですか。
 場所は京都洛西にあるんですが、立派な施設でしたよ。びっくりです。
普段は研究施設なので一般非公開。わさわさ人が来ていたのも、びっくりです。
 小説書きとしては、優秀な歴史データベースが一般公開されているのが注目です。文献と画像がありますが「妖怪」に絞ったデータベースは一見の価値ありです。ネタに使えるんじゃないかな。
見るだけでも楽しいですよ。
イベントは個人的に好きな本の著者を見られたのが嬉しかったです。
「霊柩車の誕生」以来、ほぼ読んでいる井上章一教授や「武士の家計簿」の磯田道史教授ですね。ミーハーですけど。
 裏イベントの「大衆化された探検隊ー川口浩探検隊を見てみようー」は、個人的には楽しみにしていて、トラブルはあったものの、とても面白かった。
だいたい、始める前に「嘉門達夫 行け行け川口浩!」が流れた段階で、うはうはしちゃうじゃないですか! 水曜スペシャルのタイトルロゴがばーんと出るだけで、懐かしい、いろんな意味で。
イベント会場はそんな人でかなりの入りでしたよ。指摘された「妖怪ウォッチ〜金妖スペシャル コマさん探検隊」は明らかに水スペに対するのノスタルジーとにオマージュを捧げていて、かつ「水スペ」とは日本人にとって何だったのか? について一つの回答を出していると思いました。
妖怪ウォッチ」あなどれねー。
 この日文研の立派な建物の後ろはすぐ山、そろそろ秋の色づきが始まっていて、ココロ癒されて帰ってきました。
また、イベントがあれば来たいかなあ。