一行感想「退出ゲーム」 2016/08/08 09:55

人気のハルチカシリーズ、アニメ化もあり。
普通にキャラが立っていて面白かったです。
日常ミステリのトリックは私はロジックに飛躍がありすぎる、と感じました。


■映画「ファインディング・ドリー
 ピクサー信者の私が通りますよ。
 いくら私だって「カーズ2」や「メリダとおそろしの森」が傑作だとはいわないけれど、「ドリー」は扱うテーマの重さを考えれば静かな名作(もんぶしょうすいせん)だと思っております。なので喋るぞ。
 家族と吹替版を見たあと、もやもやしました。だからネットでいろいろ関連情報を調べまくったあと、字幕版も見ました。
(そうそう余談ですが字幕版は大阪で2館だけです。シネコンの一番小さい50席ぐらいのここアートシアター? なホールで、居るのは物好きと英語が母語の人だけでしたよ。あ、私もそうか?)
 で、両方見てネット漁りした結果をさっさとお伝えします。
「吹替版も字幕版も子どもにわかりやすい、ということに気を使い過ぎ。台詞はもう一捻りした方がよかったかもなあ」と感じた。
 実は映画の冒頭で赤ちゃんドリーが話すシーン、けっこう重要な台詞を言っていますが、日本語版は吹替版、字幕版とも、
「私はドリー。何でもすぐ忘れちゃうの」
これって単なる忘れんぼ、と誤解されそう(個人的な見解です)。
 でも実は英語版ではこう言っているのです。
「私はドリー。私は short term memory loss です」
「short term memory loss」とは、日本語の症例名は「短期記憶障害」です。これは単なる忘れんぼ、ではなく機能障害なのです。
(たまたま講義の合間に洗井しゅうさんとお話しする機会がありました。洗井さんによれば、「短期記憶障害」はそんなに珍しい症例ではないのだそうで、たとえば交通事故が頭を強く打った場合などにも起きることがあるそうです。知りませんでした)
 この言葉をキーワードとして考えると、その後のドリーの行動も、ドリーの仲間たちの設定にもすべて意味が見えてくる。はい、裏付け、論証、引例、こじつけ、やります。
 監督アンドリュー・スタントンはインタビューで(子どもが買った映画パンフレット参照中)
「この映画は前作から引き継がれた問題を扱っている。僕はドリーに自分が何者なのかを知ってほしかった(中略)。彼女が欠点を自分の個性だと思い、それれを弱点ではなく、強みだと受け取ってほしかった。」と言っています。
 センシティブな話なので曖昧な言い方をしていますが、もうまさに、そのものずばり、ですよね。
 もちろん、そこはピクサー映画、ストーリーも笑いもぐいぐい来ますから、普通に子どもも大人も楽しい映画にはなっていますが、監督が意図した重いテーマを知るとより味わい深いと思っています。

 実は映画を見る前の日にちょうど相模原の事件があり、すごく嫌な気分だったことも関係があるかもしれません。私はこの映画にとても感動した。
 でも別に感動だけ求めて映画館に行く訳じゃないし、単なる個人的見解と思ってくださいね。
 これで興味が沸いたら映画館へGO! してください。
 今回もピクサー印の面白さは保証付き、ですので。