一行感想「映画はおそろしい」黒沢清

共感したよ。久しぶりだよ。なんとなく、でも真摯に、物語は作られるべきだよ。
抜き書き。
・映画というのはどうしても現実と物語の中間に存在しているようだ。(たぶん小説も)P12
・現実の死とは、おそらく何の誇張も省略もない無愛想な出来事に違いない。P69
・『野外における危険な生物』P201
・ならば私は、やはりあらゆる歴史から切り離された現在この時の「いかがわしさ」と「出鱈目さ」を積極的に受け入れようと思う。人間ドラマ、恋愛、政治、要するに何でもいいのだ。デジタルであろうがアナログであろうが構いはしない。それらをことさら有り難がりもせず恐れもせず、時間ある限り撮れる範囲のものを撮る。おそらくそれは、作家性の否定ということになるだろうが、実は私はそれでほっと胸をなで下ろすのだ。作家……ああ何という不変の匂いが立ちこめるまぼろしのような存在。だって、もう一度言うが、私は絶対に上等の人間ではなく、無教養で通俗的で、およそ作家とは程遠いキャラクターであることがはっきりしている。どっこい映画は、そのような者にも撮ることができる、ということを証明するために私は撮る。それ以外にない。P265