令丈ヒロ子先生の講演会に行ってきました。2014/07/15 07:58

過去の話になりますが。
著書「パンプキン」についての児童書関係の講演会です。
令丈ヒロ子先生といえば「若女将は小学生」シリーズは女の子の間で大人気(読んでません)。ただこの著書はちょっと傾向が違って、図書館にあった講演案内を見て行ってみようと思いました。
ここで「パンプキン」とは何か? 
この本のパンプキンはパンプキン爆弾を指します。パンプキン爆弾とは模擬原爆。これでもわかりませんね。
アメリカは日本の広島、長崎に原子爆弾を落としました。世界で初めての原爆投下でした。原子爆弾は大きい。爆撃機で運ぶのにも投下にもパイロットの熟練が必要でした。投下のあと一五〇度旋回して逃げなければ自身が原爆の爆発に巻き込まれるそうです。
そのために投下の練習用に作られたのが模擬原爆。長崎に落とされた原子爆弾fatman型とサイズは同じ(巨大です)中身はウランではなくTNT火薬が積まれした。
この模擬原爆が広島、長崎への原爆投下の前に各地に落とされたのです。練習ですね。その数は49発、なお原爆投下後に落とされたものもあります。これは今後の練習のため、あるいは機体が支えきれず落とした、ともいわれていますが真相はわかりません。淡々と書き連ねましたが、ひどい話です。
令丈先生は東住吉の家の近くでたまたま慰霊碑を見た。
これはいったい何だろう? と調べ始めたのが執筆のきっかけだそうです。調べる中で模擬原爆について調べている人に出会い、ぜひこのことを本にしてほしい、と言われた。 
ただ先生の普段の作品とはまったく違うので出版元を探すのに苦労し、最終的に自分は児童作家なのだから子供の本を出そう、と決めて書かれたのがこの本です。だから読者の対象は小学三年生から。大人が読むと短めですが、子どもにはちょうど良い。
子ども達に内容はわかったかな? と聞くとみんな「わかったよ」と答えるそうです。また学校の先生からの反響が大きく、子どもに身近に戦争を感じてもらうテキストとして活用しています。という感想をもらうそうです。


 先生はお世辞にも手際が良いとはいえない運営スタッフの進行にも丁寧に対応されている姿がとても印象的でした。腰の低い方なんだなあ、と思った。
あと自分のプロフィールで、子どもの頃SF黄金期で、SF好きだったこと。絵本作家を目指そうと思って大学の美術科にいったが芽が出ず、たまたま講談社に応募要項を申し込んだとき、絵本と児童書と両方募集があり、絵本とついでに児童書も書いて応募したら、児童書の方が変わっていて良いから書くのを続けたら、といわれ、原稿を落とした作家の代わりに一ヶ月で書き上げた児童叢書の中の1冊がデビュー作になったこと。
「若おかみ」の主人公のモデルは、佐藤愛子のエッセイ「娘と私の部屋」に登場する佐藤愛子自身とか、楽しい話が沢山聞けました。
(・_・)/ □