下町ロケット

一気読み。
いま勢いのある作家さんだと思う。元銀行員でマネーの知識が豊富というのも時代に合っていると思うな。
前半の知財訴訟の話は得意分野という感じで、ぐいぐい読ませる。後半のロケットの話は読ませるけど密度が下がってる感じがする。
話が二つに分かれちゃってますね、厳密にいえば。
人物はみんな立ってるんだけど、作者の分身とも思える殿村さんがいっぱい活躍しますよね、いいですね。
「この会社が好きなんです」というシーンでうるっときちゃったな。
大企業から出向の人はほぼ二通りで、出向先に溶け込んでばりばり仕事ができちゃう優秀な人と、いつまでも元企業に恋々として役に立たない人の二通り。
これ、前にも書いたんだけど、某大手コンピュータ企業から中小企業に転身した人で二通りの人がいたと。
一人は大企業と同じ組織の仕組みづくりをしようとして、中小企業は人が少ないから一人何役が当たり前なんで結局社長と対立して辞めちゃった人。
もう一人は自分から部下を率いてがんがん仕事をし部下の足りない部分は根気よく教育して成果を上げた人。
社長は成果を上げてくれるから、ちょっとねぎらいの言葉をと思ってその人にこう言った。
「いやあ、うちの社員なんてF社(元いた大企業ね)の優秀な社員さん達とは違うから大変でしょう」
その人から返ってきた言葉が、
「いや、仕事は与えられた環境と条件でやるものですから」
かっこええーわ。
こんなこと言ってみたいわ。なかなか言えませんよ。
いつも資源が足りない、とかいってる自分を反省するわ。