一行感想「トキワ荘無頼派漫画家森安なおや伝」

「トキワ荘」無頼派―漫画家・森安なおや伝 併載『赤い自転車』(森安なおや作)

「トキワ荘」無頼派―漫画家・森安なおや伝 併載『赤い自転車』(森安なおや作)

タイトルの無頼派は違うと思う。
正直、著者が対象の(森安なおや)に対するスタンスは思い入れるでもなく、対象を冷徹に突き放すでもなく中途半端で、ルーチンワークかとちょっと思ってしまうよ、どっちかにして。
森安なおやにはずぶずぶのめりこみそうな哀切さと共感を感じる。才能がなくてもただ書き続けてまた書き続けて。公募に投稿しても落選、自分に絶望する。でも漫画をあきらめきれない。
人間ってこういうもんだよな、深く頷く自分がいた。
文中に出てくる「一八才三ヶ月の雲」は完成したものを読んでみたかったなあ。でも森安が死んで完成することはもう無い・・・。