一行感想

現在私たちが見ている地図とメルカトル図法を考案したメルカトルの生きた16世紀の人が見た地図は実は違う。
もちろん目で見る地図は16世紀も現代も同じ。
でも現代の私たちが見る視点では、例えばオーストラリア、ハワイはリゾートだし、海には海底油田があることを知っている。想像できる。しかし16世紀の人が同じ地図を見て感じたのはオーストラリアは遥か遠くの地、囚人の島、ハワイは小島、海は陸地をただ隔てるもの、なんて感想だったかもしれない。
見る人によって地図は意味を変える。そういう視点。
面白い。
ただ古い本なので挙げられる例とかが古くちょっと寂しくなります。本質はぶれて無いんだけど。古い批評本特有の悲しみですね。
なかでも「土木工事現場に進出するコンピュータ」(IBM1130)との写真が明らかにムリのある(たぶんIBMの宣伝写真)なので今見ると笑っちゃいました。
旅客機もSST(いまは昔のコンコルド機ですね)が主流になると書いてあるけど、これもダメになったし。
でもこの時代のダイナミズムみたいなものを感じる。まだ世界は広かったんだね。
この時代に不都合な真実は着々と累積されていってたんだけどね。
ああ旅に出たい。