一行感想:ドラッカー「ポスト資本主義社会」

ポスト資本主義社会―21世紀の組織と人間はどう変わるか
今まで読んだドラッカーの書籍の中で一番面白かった。
社会の変革について書いているわけだが2006年現在予想はほぼすべて当たっていると言っていい。
すごいと思う。次の1冊を読もう!と思う。
印象深い言葉を抜き書き。


1. 経済システムとしての共産主義は崩壊した。共産主義は富を創造する代わりに貧困を創造した。経済的な平等をもたらす代わりに前例のない経済的特権を教授する官僚群からなるノーメンクラツーラをもたらした。
しかし信仰としてのマルクス主義は「新しい人間」を作り出せなかったゆえに崩壊した。代わりにマルクス主義は「古いアダム」の持つ最悪の部分のすべてを強化し顕在化させた。


2.組織の成果は常に組織の外部にある。
(内部の事情、組織体制にこだわりだしたらもう終わり)


3.当時の日本の経営者は「日本、日本の社会、日本の経済にとっての最前は何か?」と言う問いから事業を考えた。
そして次に「それでは、いかにしてそれを事業機会とすることが出来るか、特に我が社の事業機会に転ずることが出来るか」と考えた。
彼らは「無私」でも「利他的」でもなかった。むしろ彼らは利益中心的だった。
彼らは「リーダーシップ」を取ろうともしなかったが「責任」を負っていた。
しかしこの日本でさえ、企業とその経営者の多くは、経済が戦後の復興を成し遂げ世界の経済的リーダーシップを握るまでに発展した後においては、再び自己中心的になってきたかのごとくである。


4.巨大国家への最初の小さな一歩が、1880年代におけるビスマルクによる福祉国家の発明だった。
ビスマルクの目的は、急速に水かさを増しつつある社会主義の潮流と戦うことにあった。福祉国家階級闘争の危険に対する対策だった。ビスマルク以前の政府はもっぱら「政治的」な機関とされていた。しかしビスマルクの思想がやがて政府を「社会的」な機関に変えていくことになった。


5.イノベーション、つまり既存の知識を新しい知識の生産のために応用することはアメリカでよく言われるような「インスピレーション」ではなくガレージに一人こもってやって上手くいくというものではない。イノベーションには体系的な努力と高度の組織化が必要である。