呼ばれたと思った。
本はなるべく買わないでおこう(家にはもう置く場所はない)と思っているのですが、
本屋に行って本を手にとって開いたその箇所が、
「アメリカン・エキスプレスしかないんですが」とサチは言った。 「アメリカン・エキスプレスでけっこうです」と警官は言った。 私はアメリカン・エキスプレスで息子の火葬の料金を支払っているのだ、とサチは思った。
ぱたんと本を閉じた「うまいな」と思った。その場所から離れた。
2日後別の本屋で同じ本に遭遇した。手にとって開いてみた。
「アメリカン・エキスプレスしかないんですが」とサチは言った。
偶然なのか。
私はこの本に呼ばれているんだと思った。金を払って購入した。
生硬で翻訳調なのに心の中にストンと落ちるフレーズ、やられました。