無題

2つお隣の家は犬を飼っていて時々玄関に出しているが子鬼は犬が嫌い、なのは幼児のとき犬にイキナリ馬鹿吠えされて大泣きしたためで今でもおそるおそる横を通って学校に行く。もちろんびびっている。
お隣の犬は吠えない。子鬼がすでに見知った存在で特に気にすることも無いしなにしろもうかなりの年なので外の世界への興味があまりないようなのだ。
お隣の許可を得て私は彼女(メスなのだ)の好きなビーフジャーキーをあげる。もうたぶん目も弱っているので口元までジャーキーを持っていっても彼女はボーっとしている。めんどうそうにクンクンしもしゃもしゃと(たぶん歯も悪いのだ)ジャーキーを食べ始める。食べるとやっぱりジャーキーはウマイので少し満足そうな顔になり、もっとジャーキーくれるのなら阻まないよとこっちを見る。「まだダメならそれでもいいけど」と言いたげな悟りきった顔でこちらを見る。
あいにくこちらにはもうジャーキーは無い。「ごめんね」と言って、悟りの顔の彼女を見ながら横を通る私はとても癒されている。彼女は「フーンまあいいや」という顔で私を見てる。でも通路から消えるまで見てる。
子鬼が犬に慣れるのにお世話になっているし、明日もジャーキーを用意しなくちゃね、と思う私はすでに半分飼い主の気分だ。
私はジャーキーを買うのを忘れないように手帳を取り出しメモを書く。