妻の働き方で夫婦の手取りはどう変わる?(その2)

9月6日の続き。
前回と同じ例をここにも書きますね。


夫(30代)の収入500万円、妻(30代)、子4歳と2歳の4人家族の場合。
  ①妻の収入が0円だと
      →夫婦の手取り収入:430万円、支払う所得税社会保険料70万円
  ②妻の収入が103万円だと
      →夫婦の手取り収入:533万円、支払う所得税社会保険料70万円
  ③妻の収入が129万円だと
      →夫婦の手取り収入:554万円、支払う所得税社会保険料75万円
  ④妻の収入が130万円だと
      →夫婦の手取り収入:541万円、支払う所得税社会保険料89万円
  ⑤妻の収入が148万円だと
      →夫婦の手取り収入:554万円、支払う所得税社会保険料94万円


①から②までは妻は夫の扶養に入れるのです。配偶者控除38万円が受けられる。
結果として夫の払う所得税が3万8千円減税になる。
④から妻は自分の健康保険、厚生年金を払わねばならなくなる。収入は減少する。
だから③より④の手取り収入が少なく⑤でやっと③と同じ手取りになるのだ。


付け加えれば妻の収入が②を超えても所得税については配偶者控除に代わり配偶者特別控除を受けられるので所得税は段階的に上がる。一気に増えるわけではない。ただ家族手当を支給している会社はここで家族手当をうち切るところが多いだろう。もし家族手当1万円なら年間12万円の減収になる。
④(130万円)からは健康保険、厚生年金を払う必要があると書いたが、これは本人が払うだけではない会社も負担がある。だから妻を雇っている会社側も嫌がるかもしれない。


ある調査によれば年収や労働時間で働き方を調整しているパートは3割を超えるらしい。
「夫は外で働く妻は家を守る」まだそんな考えを基に企業の給与体系や社会保険の仕組みが作られている、そういうことだろう。
103万円、130万円という障壁があるから結婚した女性の再雇用が進まない、という面があるのも事実だろう。企業側もデフレ下の必死の経費のやりくりで不定期雇用のうまみを知ってしまった。正規雇用はますます難しくなる。
それは本当に企業にとって良いことなのか?どうだろう、と個人的には思うけれど。
作家の桐野夏生(OUTの作者)はあるインタビューでこう言っていた。
以前、外国人に「日本人の夫はホワイトカラーなのに妻がブルーカラーで働いているのは何故だ?」と聞かれたんだそうだ。でも現在はもっと悪い。「派遣」という中間搾取まで女性はされていると。


最後に自分のことを書こう。参考になるかどうか分からないけれど。
現在のうちの収入は私一人だ。そして奥さんが働くなら私の収入が安定しているうちに職を見つけて貰おうと思う。
「貧すれば鈍す」で切羽詰まっていたら絶対良い職は見つからないからだ。求人広告は余裕のある目で見ると怪しいものが多すぎる。じっくり選択できる状況でないと本当の良い職は見つからないし、もし嫌でも辞めることさえ出来ないのだ。